IKTTは、いつ始まったのか?

森本喜久男氏が、1996年1月にカンボジア政府からNPO法人の認可を受けました。
2002年7月に、まず約5ヘクタールの土地を取得しました。これが、「伝統の森・再生計画」の第一歩でした。
翌2003年の2月からは、カンポット州タコー村の若者たちが住み込み、開墾に着手します。一方で、桑や染め材となる植物の苗を準備して育て始めました。こうして、シエムリアップの工房での織物づくりと並行して、「伝統の森」での森の再生と、新しい村づくりが始まったのです。荒れ地をひらき、道をつくり、少しづつ開墾エリアを広げ、そこに桑や藍の苗を植え、野菜畑をつくり、家を建てたりと、すべては手づくりです。
その後、何度かの土地の拡張を経て、現在「伝統の森」は、約23ヘクタールの規模にまで広がりました。

森本喜久男氏プロフィール

1948年生まれ。
1996年にカンボジアの現地NGOとしてIKTTをプノンペン郊外のタクマオ市に設立。以来、内戦下で途絶えかけていたカンボジア伝統の絹織物の復興と、伝統的養蚕の再開に取り組む。
2000年、IKTTをシエムリアップに移転。工房を開設し、研修生の受け入れを開始し、伝統的な絹織物の制作と並行して、若い世代への染め織り技術の継承に努める。
2002年、シエムリアップ州アンコールトム郡に約5ヘクタールの土地を取得し、「伝統の森」予定地とする(後に23ヘクタールにまで拡張)。
2003年、IKTTのプロジェクトとして「伝統の森・再生計画」に着手。荒れ地を拓くところから始め、小屋を建て、井戸を掘り、畑をつくり、野菜・桑・綿花を栽培し、養蚕をし、自然染色の素材となる木々を植え、自給的な染め織りが可能な工芸村を立ち上げた。自然染料による染織を核にしつつも、人びとの暮らしの再生と、人びとの暮らしを包み込む自然環境の再生に取り組むIKTTのプロジェクトサイトを「伝統の森」と呼ぶ。
2015年、白水社より『カンボジアに村をつくった日本人 世界から注目される自然環境再生プロジェクト』を上梓。

2017年、旬報社より『自由に生きていいんだよ お金にしばられずに生きる“奇跡の村”へようこそ』を上梓。第21回女性伝統工芸士展にて特別講演。第11回読売あをによし賞(奨励賞)を受賞。7月3日、治療のため一時帰国中に死去。

森本氏が、まだ道半ばで逝去されましたが、その道を引き継いだのが、岩本みどりさんとのこと。

岩本みどりさんへのインタビュー

どうしてその仕事をやろうと思ったのですか?
大尊敬するIKTT創設者の故 森本喜久男の近くで学びたいと思い、IKTTで働けることになったのが2015年。
森本さんからは、生き様、思想哲学、美意識、心、物作り、伝統、その他様々な事を学びました。 森本さんはアーティスト、経営者と2つの顔を持っていました。そんな森本さんが亡くなる数ヶ月前「岩本はディレクターなんだよ。自分の美意識をここで表現したらよい。それは自分の学びにもなるし、職人達の学びにもなる。それが新しい伝統に繋がるんだ」と言ってもらいました。
昔から「これがしたい!」というのが特に無かった自分にとって、目の前にある事を一生懸命にやる事で、森本さんとこの場所と、そしてこの仕事にたどり着いたのだと思います。
それは子供の頃から「何かを表現したい、美しいモノが好き」という漠然とした思いが招いた、今までの人生の選択の上にあるのかもしれません。

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